「文句があるなら、俺に言えばいいだろ!」


 そう言いながら、北澤先輩は女の先輩たちの間をすり抜けて来ると、スッとイケメンヒーローのように私を背中に庇った。

 女の先輩たちがショックを受けたように真っ青になっている。

 庇われた側の私も、顔を赤くしてときめくどころか同じくらい青ざめていた。

 

 あーーーーだめ! やめて!
 私を背中に庇うのやめて!!

 このシーン、男子から見たら『美少女が女の先輩にいじめられている可哀想な図』にしか見えないかもしれないけど、女子から見たら『男に庇われて被害者ぶってるムカつく美少女』にしか見えないから!



「彼女はなにも悪くないんだ……。俺が、俺が……」



 え? ちょ、ちょっと……? 
 やめてね? ダメだよ? 
 その先をここで言ったらダメだよ……?