それから、夕方になって窓の外でラッパの音が聞こえた。

「まあ、いらしたみたいですわ。」

「そうだね。」

お父さんとお母さんが…?

「今日はお招きありがとうございます。霧崎美羽の母で霧崎優羽と申します。」

わっ!ドレス姿のお母さんだ。

その隣は…

「久しぶり、舜夜。」

お父さん!

そして…


「お久しぶりです。莉花様、舜夜様。拓夜。」

「あらあ~蓮斗くんじゃない!久しぶりねぇ~。」

「えぇ、お久しぶりです。」

「まあまあ、こんなに大きくなってねぇ〜。」

「母さん…なんかおばさんくさいよ。」

「な!こら、拓夜!おばさんとは何事です!」

「げっ、」

「お待ちなさい、逃がしませんよ。」

ええっ?

「美羽。」

「お母さん。」

なんて…言われるだろう?

勝手に決めたこと、怒られるかな?

正直、お母さんがなんて言うか予想ができない。

「美羽っ!よかった!一日も連絡がなかったから、美羽に何かあったんじゃないかって…お母さん、心配で…心配で…。よかった…。」

お母さん…っ!

「ごめんなさい…。」

「もう、連絡なしに家に帰らないのは許しませんよ?お父さんも蓮斗もとっても心配したんだからね?」

「うん…ごめんなさい。」

「でも…まあ美羽が無事ならいいわ。」

「すみません。優羽様。僕のわがままでお宅のお嬢様を連れ回してしまい…。」

「まったくだ。ほんと、やめてほしいもんだな。」 

この声はお兄ちゃん。

「こーら!蓮斗。そんな言い方しないの!美羽が拓夜さんのところに居るって聞いて一番安心してたのは蓮斗でしょ?」

「ゔぅ。」

どうやら、図星らしい。

「ま、まあ。お母さんもお兄ちゃんも落ち着いて、ね?」

そう言ってお母さんの顔を見ると

「まあ今回は美羽の可愛さに免じて許してあげるわ。」

「ふん、どっちがだよ!」

「なんですって?」

「冗談です。」

「あら、そう。」

お母さん〜、お兄ちゃん〜

「……。二人ともやめなさい。優羽、こっちにおいで。」

そう言ってお父さんはお母さんを呼んだ。

「?」

お母さんが不思議そうにしながら近づくと、お父さんはお母さんの腰に手を回した。

それを見た私とお兄ちゃんは

あぁ~あれね?

という反応になった。

と、いうのも。お母さんとお父さんはすごく仲がよくて、こう…。人目をはばからないところがあるから。

「こほん!」

つっ?

「では、これより、中へ。湊斗様、優羽様。旦那様がお呼びです。」

「あぁ、そうだね。」

「奥様もご一緒されてください。」

「なるほどね…あの話か。」

あの話?

「じゃあ、拓夜、蓮斗さん、美羽ちゃんもう少し待っていてね。」

「は、はい。」