田沼は女子中高生に人気のあるウルフちゃん小説投稿サイトに小説やシナリオを投稿していた。それが学校に流れていた。
 自由学園高校、廊下。
 女子たちが廊下にたむろしていた。
 「ねえ、田沼のやつ、ウルフちゃんやってるらしいよ」
 「え、まじ、超気持ち悪いんだけど」
 「性格最悪のやつが書くもんじゃないよねえ」
 女子生徒たちが噂した。
 「なんかやだあ」
 と、ゆうな。
 「だよねえ」
 と、ここな。
 「あれ、女のやつだしな」
 と、風祭飛鳥がいった。飛鳥は中二病で、自分はほんとは男で魔法使いに女子にさせられた、という設定キャラをつくっていた。飛鳥は銀髪でアップスタイルにしていた。
 「うちらのやつだよな」
 と、目の吊り上がった、背の高いミナミがいった。髪の毛が長かった。
 「顔はいいのにな」
 と、いいとこのお嬢さんの芽亜里がいった。
 田沼が現れた。
 女子たちは田沼を見た。いつものように田沼はねめつけてきた。
 「おい、君ら、廊下でたむろしてんじゃねえ」
 と、田沼。
 「は、はい」
 と、女子たちは道を開けた。
 田沼が去っていく。その背中に
 「中身イケメンじゃないといけないんだあ」
 と、ゆうながいった。
 田沼が立ち止まった。
 一瞬振り返った。女子たちをにらみあった。田沼は去った。
 「ああ、またにらんできた」
 「ヤンキー」
 「田沼のやつはあ、ヤンキーに決定え」
 と、ここながいった。
 「ねえ、あいつ、ウルフちゃんから追い出そうよ」
 と、ゆうな。
 「うん」
 と、ここな。
 「激おこぷんぷんまる」
 と、ミナミ。
 「あそこは中身イケメンじゃないと、だめなんだ」
 と、ゆうな。