私の隣の席には、天敵がいる。



「向葵ー?……何むずかしい顔してんの?めずらしい」


「難しい顔してるんじゃないの。これは念を送ってるの」


「え、誰に…って、ああ……」




視線の先には、彼をとらえていて、どうやら私の親友は納得したよう。



そう、彼とは。



私の大・大・大っ好きな先輩の……彼氏…である、白谷 悧來だ。




「うわあぁん、私の憧れがあー…!」


「…柳瀬うるさい」


「聞こえてたの!?」


「てゆーか何、お前応援してくれてたんじゃないの?なんでめちゃくちゃ嘆いてんの」


「私が応援してたのは白谷じゃなくて恋奈先輩なの!」


「それは遠回しに俺でしょ」



うう……。


勝ち誇った笑みを向けられて、カチンとするけど論破する術がないため、おとなしく口を閉じる。



分かってたよ?ずっと彼が恋奈先輩を好きだったことなんて。