「センパイ?どうしました?」


「っ…ううん、なんでもない」



…あの答えで本当に良かったか、わからない。

そんなの神様しか知らない。



でも、じわじわと後悔が浮かんできては、じわりと心を染めていく。




「……とりあえず、何か食べません?お腹すきました」


「…うん!私もお腹すいた~」



今は、悧來との時間を大切にしよう。


少しぎこちない笑みは、なんとか彼には悟られずに済んだ。





「センパイこっち向いて」


「んむ?」



瞬間、視線の先でパシャ、と音が響く。



「…っあ!今撮ったでしょ!」


「え、気のせいじゃないですか?」


「さっき音したもん!うわあ、食べてる途中だったから絶対ヘンな顔してる…」


「おいしそーに食べてるセンパイが可愛かったので大丈夫です」


「…え」



今、なんて。



びっくりしてバッと悧來を見ると、彼も自身に驚いていたのか、「あ」と言葉をこぼしていた。