嘘だ、そんなはずない……!

気づけば私は、瑠水の病室を飛び出して走っていた。

瑠水が、心不全?って良くわからないけど、結構重い病気って……。信じたくない!

すれ違った人は、みんな驚いたような表情を浮かべた。

余命が一年……。いやだ、もっと瑠水と一緒にいたい!

そうだ……。瑠水よりさきに逝って、あの世(あっち)で待っておこうかな。そうしたら、もっと瑠水と一緒にいれる。

満珠学園の敷地を出た私は、今はもう使われていないビルの屋上に立った。

ここから飛び降りたら、間違いなく死ねるよね……。

柵をまたぎ、下を見る。

……よし、誰もいない。

飛び降りようとしたとき、後ろから誰かに手を引っ張られた。

そのまま、柵の内側に連れ戻される。

「何してるんだ」

自分の後ろを振り返る。

そこに立っていたのは、不機嫌な表情をした波先輩だった。

「波先輩……どうして」

「何故、自分の命を自分で奪おうとした?その行動にはなんの意味がある?」

私の手をひいて歩きながら、波先輩が質問を投げかけてくる。

波先輩、怖い……。多分、すごく怒ってる。

答えない私にしびれを切らしたのか、彼は小さくため息をついて立ち止まった。

「おそらくだが、瑠花は瑠水がいなくなるのが嫌だった。だから、先に逝って待っとこうって考えた。違うか?」

「……あってます」