猫かぶりでも、 きみが好き。


『ぶりっ子』というキャラクターが染み込んだ私に対して佐富は手を握ってくれる。

ガラスをなんなくぶち壊して外の世界に連れ出してくれる。

私の手をしっかり握って。


「…ほんとうに、こんなわたしでも、好きって言ってくれる?」

今更、こんなことを聞くのはちょっとタイミングを間違えたかもしれない。


顔が、あつい。


7月中旬、しっかりと教室の冷房はついているのに。

この真夏の世界から私だけが切り離されたように体があつかった。

じんわりと、固く握りしめた手の中にも汗をかいている気がする。


鼓動が早くなる。


どくどく、どくどくどく。

いっぱいの不安と、ちょっとの期待と、ほんのちょっとの後悔。

それが毒みたいに混ざりあって私の中を血と一緒に巡る。


はやく、この毒の巡りをとめてよ。