私が夏目先生と出会ったのは、入学式の日だ。



「あれ、教室どこだっけ…」



さっきもらったばかりの校内案内図と睨めっこをしながら、見慣れない廊下をキョロキョロとしながら歩いていく。



「…非常勤室？」



目の前の教室に掛かっていたプレートを読み上げながら、聞きなれないその単語に首を傾げる。



たしか週に何回かくらいしか来ない非常勤の先生がいるんだっけ…？


じゃあここはその先生たちの部屋ってことか。


それならここにいる先生に教室の場所を聞けば…。



我ながら冴えている名案に、まるで謎を解けた名探偵の気持ちになる。


そんなバカなことを考えながらひょっこりと開いていた非常勤室を覗くと、中にはマグカップを持ちながら窓の外を眺めている男の先生が立っていた。