蘭ちゃんと、付き合っていたなんて…。



「あ、ちょっと、大きく書きすぎ…」


「ふふん、いいだろ。蘭のアルバム一ページ分、俺にちょうだいよ」



小山内くんと下の名前を呼び合って、タメ口で話して、そんな特別な関係にずっと憧れていた。


今度こそ、この気持ちを伝えようと思っていたのに…。



「蘭、卒業おめでとう。今度旅行行こうな」


「ふふっ、ありがとう。すごく楽しみ」



遅かったんだ。


目が合う気がしてたのも、全部私の勘違いだった。


小山内くんはずっと私の奥にいた蘭ちゃんだけを見ていたんだ。


可愛くて優しくて素直で、そんな蘭ちゃんを好きになったんだ…。



私の恋は、誰にも知られることなく桜の花びらのように呆気なく散ってしまった。


淡い恋心だけを胸に残して…。