「なんでって、今日で制服着れるのも最後だろ?だから一緒に写真撮りたくて。あとこれ」



小山内くんは後ろ手で隠し持っていた小さな花束を、恥ずかしそうに顔を赤くして蘭ちゃんに渡した。



「わ、可愛い…」


「あー!蘭、彼氏の登場ですかー?」


「寄せ書き書いてもらいなよ。待ってたんでしょ?」



蘭ちゃんとよく一緒にいるクラスメイトが、蘭ちゃんと小山内くんを囲んできゃあきゃあと楽しそうに話している。



「純くん、寄せ書き書いて。一番最初に書いてもらいたかったんだ」


「うん、もちろん」



二人は今まで見たことがないくらい優しく、そして幸せそうに笑っていた。


…知らなかった。小山内くんに彼女がいたなんて。