「あ、いえ!全然大した事ではないんです!ですがただ…好奇心に負けて…」
「…好奇心?」
いたたまれないという顔をしながら言葉を続ける如月さん。
「私は新選組が壬生浪士組だった頃も何度か見かけているので気になったんです…」
俯きながら話を続ける如月さん。
何が言いたいのか全く分かっていない空蒼。
「…えっと、つまり?」
こういう時の空蒼は頭が働かない。
遠回しに言われると考えるのを放棄する。
「…その…壬生浪士組の頃は見かけなかったもので…びっくりして…」
「つまり?」
何も分からないから早く答えを言ってほしい空蒼に、言いづらそうに結論を言わない如月さん。
「私を助けてくれたあの日、新選組の方と朔雷さんが話しているのを見てびっくりして…」
「…びっくり?何故?」
話しているだけで何故びっくりしたのだろうか。
全くもって分からない。
「私は朔雷さんを新選組の方だと思っていました。なので…女子(おなご)でも新選組に入れるのかなと思って…新選組になってその規律?とかが変わったのかなぁと」
「っ…!!」
その言葉に目を見開く空蒼。
(え、待って待って。女子ってあたしの事?)
理解が追い付かない空蒼。
その女子とやらは空蒼の事を言っているのか。て言うか遠回しに言わなくても、直球に言って欲しいと思った。
「…ごめんなさい、本当に私の好奇心なんです。壬生浪士組では女子の姿はなかったので…新選組とお話していた朔雷さんを見てそう思ってしまったんです…けど、私の勘違いでしたね」
バツが悪そうな顔でははっと乾いた笑いをする如月さん。
女子とは空蒼の事を言っているようだ。
どう答えようか迷い始めている。
「…えと…あの…」
「あ、大丈夫です!朔雷さんがどうして男性の格好をしているのかは分かりませんが、無理に理由をお話下さらなくて大丈夫ですよ…人には一つや二つ言いたくない事くらいありますから」
「……。」
本当に良い人だ。
どうしたらここまで良い人間が生まれてくるんだろう。
今まで空蒼の周りは心の腐った人達ばかりだったと言うのに。
新選組の人達や如月さん、どうしてこの時代の人達はこんなにも心が綺麗なんだろう。
どうしてこんなにも嬉しい言葉を言ってくれるのだろう。
ここまで来るともう、信じたくなってしまう。いつか、破滅すると決まっているのに。
「…一つ、聞いても良いですか?」
「なんでしょう?」
「どうして女だと分かったのですか?」
新選組の人達ですら気付いてなかったのに、どうして如月さんには分かったのか。普通に気になる疑問。
「んー…どうしてもと言われても、見た瞬間に分かったんですよね……あれですかね?女の勘?」
「……女の勘って…」
どこかで聞いた事のあるセリフだ。
空蒼も女の勘と言って彼の名前を聞き出していた。そんな事を今思い出すとは。
「…面白い事言いますね」
彼もあの時、そんな事を思っていたのだろうか。
今となっては分からないが、嫌な気分にはなっていないだろう。なんてったって言われた空蒼自身がそう思ってないのだから。
