あたしが好きになったのは新選組の素直になれない人でした




――コトッ

「どうぞ召し上がれ」
「…ありがとうございます」

湯呑みに入ったお茶に、お皿に乗った二本のみたらし団子。
まさかこの時代でみたらし団子を食べられる日がくるとは思いもしなかった。

「…いただきます」

手を合わせて小さく呟いた。

三個の白色団子が串に刺さって、みたらしという洋服を全身に浴びている。
それの内の一つを口の中に入れた。

「っ…!…美味しい…」

少し硬いが程よい甘みがこの団子には良くあっていた。
これは何個でもいけてしまう。

「お口にあったみたいで良かったです!」

湯呑みを手に持ちながら、ニコッと微笑む如月さん。
如月さんは本当に嬉しそうに笑う。

空蒼も湯呑みに手を伸ばし、ゴクッと温かいお茶で喉を潤す。

(…このお茶も美味い……この時代の食べ物侮れん)

江戸時代の食べ物は、あまり良い印象がなかったから期待してなかったが、期待を裏切るこの美味さ。
新選組で出る食事だから美味しいのかと思ったが、そうではなかったのかもしれない。

「……そう言えばお聞きしたかった事があったのを今思い出したました」
「……?」

お互い温かいお茶を飲んで一息付いていたら、如月さんからそう言われた。
コトッと湯呑みをテーブルの上に置く空蒼。

「…朔雷さんって新選組の方ですよね?」
「……え」

何を言われるのかと思ったら、今はあまり話題に出したくない名前が聞こえてきた。

「私を助けていただいた時に、新選組の方がいらっしゃったのでそうではないかと…」
「……。」

まぁ無理もない。
空蒼が如月さんを助けた時に助っ人として現れたのだから、そう思われる以外ないだろう。
だが空蒼はそうは思えないらしい。空蒼の表情がそう物語っていた。

「…新選組では無いです」
「……でも、お話をされていたので…」
「…自分が一方的に知っていただけです」

嘘は言ってない。
一方的に新選組の事を知っているだけで、今では顔見知りにはなったが新選組の一員ではない。
土方さんが入隊しろと言っては来たが、隊に振り分けすらされていない人物を新選組隊士とは言えない。

「……そうなんですね、私はてっきり新選組かと思いました」

如月さんも湯呑みをテーブルの上に置きながらそう言った。

さっきも言ったが今は顔見知り程度にはなったが、それ止まりだ。
だがどうして如月さんはそんな事を聞いてくるのだろう。

「…そんな事を聞いて何か知りたかったのですか?」

今では新選組は京の都では有名人だ。
今まで散々暴れてきた話は聞いた事があるはず、それなのに新選組と思しき人にこうして話しかけるだろうか。
天然なのかそれとも肝の座った人と言うべきか。普通の人なら恐れられている新選組と話したくもないだろうに。