「それにしても…いつまで肩に腕を回してやがんだ新八!」
「うおっ!?」
すると、未だに肩に腕を回されていた事に痺れを切らした土方さんは、そう言って無理やり永倉さんの腕を引きはがした。
それを予想していなかった永倉さんは、その弾みで後ろに飛ばされる。
「おぉ!?新八おかえり?」
飛ばされた先には、廊下に立っている原田さんと藤堂さんがいた。
その二人の足元に転がって行ったみたいだ。
原田さんはそれにびっくりしながらも、足元でひっくり返っている永倉さんを見てそう言う。
(…腕を引き剝はがしただけなのに、よくあんな所まで飛んだよね)
土方さんの腕力に関心しながら、土方さんを見ると「悪い虫が取れたみてぇだ」と肩をおさえて腕を回しながら、近藤さんに話しかけていた。
「…ただいま」
痛ててとぶつけたであろう頭をおさえながら、目の前に差し出された手に手を伸ばした。
「どうも…」
バツが悪そうに原田さんにお礼を言う永倉さん。
まさか、飛ばされるとは思ってなかったのか、不機嫌な顔をしている。
「おう、気を付けろよ!」
そう笑顔で言ってくるもんだから、今になってとても恥ずかしそうにしている。
ていうか、こう見てると原田さんて本当に純粋で良い人なんだなと改めて実感する。
良い意味で、場の空気を読まない人は時には必要なのかもしれない。
「あのさ…空蒼」
すると、二人のやり取りを見ていたら、いつの間に近くに来ていたのか、座っている空蒼の隣に腰を下ろして藤堂さんが話しかけてきた。
「…何か?」
見ると、複雑な表情を浮かべながら何て言おうか迷っている様子だ。
何を言いたいのか、何となく先ほどの行動からして分かるが、こうもあからさまに反応されたらまるでこちらが悪いみたいな気持ちになってくる。
「…えと、さっきは…ごめん」
空蒼の機嫌を伺いながらも、ちゃんと顔を上げて目を見て言ってきた。
「……。」
(さっきも思ったけど、藤堂さんて自分が悪いと思ったらこうして謝れるのは本当にすごいと思う…)
しどろもどろになりながら、空蒼の返答を待っている藤堂さん。
ここまで自分の意思を持っていると、空蒼はもう何も言えない。そんな藤堂さんを怒る資格はないのだから。
「…いえ、大丈夫です」
そう言って軽く微笑む。
今思えば、あの時藤堂さんは何の関係も無かった。
(…悪いのは……)
そう心の中で思いながら、チラッと土方さんの方を向いた。
土方さんは近藤さんと楽しそうにおしゃべりをしている。
「…悪いのは藤堂さんではなく、あちらに居る方一人だけなので」
空蒼のその言葉に藤堂さんも視線を土方さんに向けた。
それを見て、藤堂さんの口から「あぁ…」と声が漏れるのが聞こえた。
