何でだろう。今向けられているものよりもーー昨日の夜にみた、現実かも分からない冷たい瞳が本物だと思うのは。



しばらく考えたけど、少女漫画の読み過ぎかと思考をとめた。


気のせいかもしれないことよりも、次の授業の小テストに出る英単語に時間を割かなくちゃ。



「柚原さん、予鈴なったから行くよ?」


「……あ、うん」



いつの間にか結構な時間が経っていて、それよりも深月くんが目の前で待っていたことに驚いた。


てっきり、もう教室に移動していたと思ったていた私はずいぶん自分の世界に入っていたみたい。



「……そういえば、今日も柚原さんは委員会あるの?」


「え?うん……そうだけど、」



それがどうしたの?と問いかけると、どうやら聞いてみただけらしい。



パタパタと廊下に急ぐ足音が響いて、焦る。



「やばい、私ぜんぜん単語覚えてない……!」


「あーそれ、隣のページの例文からよく出るよ」


「えっそうなの?ありがとう助かる……」



朝に道案内してくれたお礼、と言われて、一緒に登校して良かったかもと少しちょろい私がいた。