お昼休み。お弁当を食べ終わって眠気がきて、少し寝ようと机に伏せていた時。
聞き覚えのある声が、教室のドアのあたりから聞こえた。
「…なあ、ここに朝倉莉那っている?」
『莉那ちゃんですか?今あそこで机に伏せてるのが莉那ちゃんですよ』
「ありがとう」
え、うそ。
みんながいるところで?堂々と呼び出し?
目立つじゃん、やめてよ。
そんな私の願いは、先輩に届くはずもなく。
「なあ、起きてくれ。お願いだから」
「…なんですか」
「ここじゃあれだから、場所を変えよう」
手を掴まれて、先輩に連れていかれて。
教室からは女子たちの悲鳴がキャーキャー聞こえて、耳が壊れそうだった。
連れてこられたのは、例の旧校舎。
この前とはまた別の部屋で、比較的掃除が行き届いていて、誰かがここに通っていそうなくらい綺麗な部屋。
わざわざ場所を変えてこんなところで、一体なにをしたいのか。
「この前のお礼してなかったから、怒らせちゃいましたか?」
「違う。それに関しては俺が悪いからお礼なんて求めてない」
「じゃあなんで…」