「ねえ、朝倉さんだっけ?ちょっといいかなあ」



お手洗いに行きたくて廊下に出たのに、出てそうそうさっきの派手な先輩たちに捕まってしまった。


メイク、濃いなあ…これ、校則違反じゃないの?それに髪の毛だって巻いて…。


あれこれ余計なこと考えてるうち、手を引かれて連れていかれたのは旧校舎、人がこないところにいた。




「あんた、2年のくせに琉生に気軽に話しかけて何様のつもり?」

「いっ…、、」




突き飛ばされて当たった先は、ホコリだらけの黒板だった。鈍い痛みを後頭部に感じる暇もなく、先輩たちに詰め寄られてしまった。

そもそも、私はあの人に自分から話しかけてなんかない。ただ、助けてもらっただけで。


たったそれだけなのに。




「調子のらないでくれるかなー?琉生は私たちの物なの、分かる?」

「………」




別に、あの人を庇いたかったわけでもないし、助けてくれたお礼をしたかったわけでもない。

でも、私の口が勝手にそう言っていたのだ。




「あの人のこと、よく知らないけど…人を物扱いするのは違う、と思います…」