「まだ、行かないで…話は、終わってないんです…」

「…?」

「先輩の、私への好きの気持ちは、まだ変わってませんか…?」



自分でも驚くくらい、ドストレートに聞いてしまった。

正直すごく恥ずかしいし、この無言の時間が苦しい。


どんな反応されるんだろうとか、キモがられるかなとか、嫌な思考ばかり頭を巡ってしまう。



「先輩が、小学生の時の私をいじめたって知った時、確かに辛かったし、苦しかったし、夢であってほしいって思いました」

「…うん」

「だけど、階段から落ちそうになった私を助けてくれて、綺麗だと思ってるって言ってくれて、旧校舎でも庇ってくれて、気づいたらっ…」



“先輩を好きになってたんです”


いちばん大切なことを伝えられないまま、腕を引かれてすっぽりと埋もれて、優しい柔軟剤の匂いが鼻を掠めた。



「ねえ、それほんと?」

「へっ…」

「言おうとしてたこと、分かったから。それ、ほんと?」

「…嘘でこんなこと言いません。嘘で言ったら本当に最低な人じゃないですか、私」

「めっちゃ嬉しい」