場所を変える、といっても旧校舎まで行っている時間はないから、教室から少し離れた階段下で話すことにした。
「っ…その、あの…」
どうしよう。謝るのと、自分の気持ちを伝えたくてここにきたのに。
いざ伝えようとすると、言葉が詰まって上手く話せない。
「落ち着けよ、俺はここにいるしどこにも行かない。大丈夫だから、ゆっくり話せ」
さっきあんなに突き放したのに、優しい顔で私の肩に手をのせてくれた。
どうして私に優しくしてくれるんだろう。
絶対に、傷つけちゃったはずなのに。
「その、さっきはっ…大嫌いなんて言ってごめんなさい。混乱しちゃって、勢いで言っちゃってっ…傷つけちゃって、本当にっ…」
「…確かに、傷ついてないって言ったら嘘になる」
「っ…、、」
「けど、それ以上に。あの時のお前に俺が傷をつけたんだもんな。謝らなくていいから。な」
じゃあな、授業遅れるぞ。って。
その場から離れようとした先輩の手を、無意識に追いかけて、掴んで、混乱させて。