頑張って先輩のいる教室近くまできたものの。リボンの色が違う私は、どうしてここにいるんだろうと言いたそうな視線を向けられた。

そんなことは今、どうでもいい。

私が探しているのはたった一人、あの先輩だけなんだ。



「あ、あのっ…!」

「ん?どうしたのかな?」

「え、えっと、ここに日向琉生、先輩はいますか…っ」



緊張で、口から心臓が飛び出そうだった。

またあの旧校舎に連れていった人みたいに、怖い人だったらどうしようって。



「琉生?あれ、さっきまでそこにいたんだけどなー。ちょっとまっててね」



優しく微笑んでくれたその人は、クラスの人みんなに声をかけて確認してくれた。

誰もが先輩の居場所が分からない、どこにいるんだろうと教室がざわめき始めた時。



「…莉那?」



どこからか戻ってきたであろう先輩は、私の顔を見るなりとても驚いた顔をしていた。

それも無理は無い。さっき突き放したのは私の方だったから。



「せ、せんぱっ…」

「お、いたいた琉生。この子が琉生に用事あるみたいだよ。こういう時に限っていなくなるんだからー」

「…は、話したいことが、あります。ちょっと、場所…変えてもいいですか…?」