…根元から毛先まで真っ白なこの髪。
一体どうしたらいいんだろう。



この髪の毛のおかげで私の人生は散々だ。
白髪だ、おばさんだって何度も言われてきた。



髪の毛だけじゃない、この目も。
私は自分の何もかもが嫌いだ。




「りーなっ!また自分の見た目の事考えてたでしょ!」

「わっ、真緒(まお)ちゃん…」



どーん、と勢いよく後ろからきたのは
同じクラスの神崎 真緒(かんざきまお)ちゃん。


運動神経抜群で、成績優秀。
身長も高くて美人。


真緒ちゃんの綺麗な黒髪と黒目に
今まで何度憧れたことか。




「いい?この白い髪の毛も青い目も、莉那だから似合うんだよ!分かる?」

「別に似合ってなんか、」

「自信持ちなって。案外、莉那のこと好きな人、近くにいたりするかもよ?」




私の事好きな人、か。
いるのかな、そんな人。


いたとしたって、それはなかなかの───…。

…いや、これ以上のことを言うのは辞めておこう。




「…そんなことより、さ。私喉乾いちゃった」

「確かに、まだ4月の初めなのに今日は少し暑いもんね。一緒に売店行く?」

「うんっ。行きたい!」

「よし!行こう行こう!」



カバンの中から財布を雑に取り出して、
先に走っていってしまった真緒ちゃんを追いかけた。