……その日の帰り際。



教科書を鞄に入れようとしたとき、鞄のサイドポケットに見慣れないものが入っているのに気がついた。



「……お守り?」



 白い紐のついた赤いお守りだった。少し古く端が黒ずんでいて、新品には見えない。


 崩した筆字の刺繍が、多分……竜、王……? と読める。


 ……竜王神社といえば、近所の神社だ。刺繍されてるってことは、多分そこで買ったものなんだと思う。



 「誰がいれたのかな、これ…………あ!」



 ……もしかしたら、昨日の彼の持っていたのが、偶然わたしの鞄のサイドポケットに落っこちたのかもしれない。


 というか、それ以外には考えられない。


 ……とにかく、竜王神社に持っていけばいいかな? 預けておけば、彼がまた行った時に受け取れるかもしれない。