「はぁ……まさか、こんなにも候補者を決めてくれないなんて……」
他にも仕事があるというのに、頭の片隅には常に妃候補の選定がよぎっていて集中できない。
私は項垂れながら王宮の通路を歩いていた。
「セアラ!」
「……マーガレット殿下」
私を呼び止めたのは、ジョシュア殿下の実の姉でありこの国の王女──マーガレット殿下だ。
ジョシュア殿下と同じ銀色のストレートな長い髪に、黄金色の瞳。
少しキリッとした目つきの美しい王女様が、足早に私に近づいてきた。
「探してたのよ!」
「どうかされたのですか?」
「ちょっとこっちへ!」



