とりあえず、殿下に辞めたいってことを伝えられて良かったわ。 もっと意地悪されるかもと思ったけど、あっさり了承してくださったし。 あの腹黒殿下がなんの嫌がらせもなくこちらの希望を聞いてくれるなんて、奇跡に近い。 ……引き止められなくて少し寂しいような気もするけど、反対されるよりは良かったと思いましょう。 あとは順調に妃候補の方を挙げて殿下の婚約者を決定するだけだ。 それで、私の秘書官としての仕事が終わる。 よし! 最後まで精一杯がんばろう! ──そう思っていたのに。