「おはようございます。セアラ秘書官」
 
「あ、おはようございます。トユン事務官」

 
 次の日の朝。
 執務室で本日のスケジュールを確認していると、トユン事務官がやってきた。
 丸い眼鏡をキラッと輝かせて、今日もいい人オーラが溢れ出ている。

 
「今日、会議はありますか?」
 
「ないですよ。今日は『冷徹事務官』の登場もなさそうですね」

 
 クスッと笑いながらそう言うと、トユン事務官は恥ずかしそうに頭を掻いた。

 
「あはは。良かったです。今朝も、すれ違った男爵子息様に真っ青な顔で挨拶されてしまって……」
 
「ふふっ。もうだいぶ有名になっていますからね」