ジョシュア殿下!


 
「大丈夫か? セアラ」
 
「殿下! 申し訳ございません! どこか痛むところなどありますか?」
 
「俺は大丈夫だ。セアラこそ痛くなかったか?」
 
「だっ、大丈夫です!」
 
「そうか。良かった」

 
 私の返事を聞いたジョシュア殿下が、ニコッと爽やかに微笑む。


 
 うっ!


 
 美の象徴とでも言いたくなるほどに美しい笑顔を見て、私はその眩しさに目を細めた。
 
 部屋にいるメイドたちが、全員手を止めてジョシュア殿下に釘付けになっている。
 麗しい王子として名高い彼の笑顔をこんな間近で見られる女性は、王宮内といえどもなかなかいない。
 
 そんな世の女性たちの憧れの場所に立っている私は、胸をときめかせるどころか顔面蒼白で震えていた。


 
 あああ……まさか殿下にぶつかってしまうなんて!