「ジョシュア殿下。この3人のご令嬢はいかがでしょうか? みなさま公爵家のご令嬢で、とても優秀だと聞いております」
 
「却下」

 
 チラリとも目を通していない用紙を、スッと戻される。
 このやりとりはこれで何回目だろうか。

 
「殿下。お願いですから少しは目を通してください! 3人とも本当にお綺麗な方で……」
 
「綺麗? 俺はそんな理由で妻を選ぶつもりはないよ」
 
 
 ニコッと優しく微笑んではいるものの、目が笑っていない。

 
「でもこの3人は勉強面でもとても優秀で……」
 
「そんなことも特に望んでいない」
 
「では、どんな女性がよろしいのですか?」
 
「それを考えるのが君の役目だろ? セアラ秘書官殿?」
 
「…………っ」

 
 有無を言わせぬ笑顔に、私はそれ以上何も言えなくなる。
 そんな私たちをハラハラしながら見ているトユン事務官に目で助けを求めてみたが、フイッとそらされてしまった。