トユン事務官は何も答えない。
 でも、その作り笑顔からは確実に『無理でしょうね』という考えが透けて見えた。

 
「……はぁ。とりあえず、今挙がっている候補の方々の確認をさせていただきますね」
 
「よろしくお願いします」


 
 とんでもない仕事を任されてしまったわ。
 あの殿下の好みから外れた女性を選ぼうものなら、どんな文句を言われるか……。
 全て完璧な候補者がいてくれるといいんだけど。


 
 候補者の資料はすでに私の机に置いてあるとのことだったので、ひとまず執務室に戻ることにした。
 ……クア草たっぷりの昼食を食べてから。