「ふぅ……」
「お疲れ様でした。セアラ秘書官」
「あ。お疲れ様でした。トユン事務官。……大丈夫ですか?」
会議室の片付けをしていると、げっそりとやつれた顔をしたトユン事務官に声をかけられた。
彼はこの会議の間にだいぶ老けてしまったようだ。
「あまり大丈夫ではありません。引きずられていくカール子爵の姿が頭から離れませんし、胸が痛くて食欲がまったくありません……」
トユン事務官は自分の胸元をぎゅっと掴んで苦々しい顔をした。
「まあ。トユン事務官が胸を痛める必要はありませんわ。すべて殿下の指示ですもの」
「ですが……こればっかりは何度やっても慣れません」
「慣れなくて当然ですわ。人を傷つけて平気な顔をしていられるのは、ジョシュア殿下くらいで──」
「俺がなんだって?」
!?