どれくらい時間が経ったんだろう。
 たぶん、実際にはほんの数分……いや。数十秒だったかもしれない。
 それでも私にとってはすごく長く感じるほど、ジョシュア殿下と抱き合っていた。



 ……どうしよう。
 思わず背中に手を回してしまったけど、そろそろ離れたほうがいいのかしら?



 嬉しさで溢れていた胸が、今はまた緊張と不安でいっぱいになっている。
 男性とこういったことをしたことのない私は、どう対応するのが正解なのかまったくわからないのだ。



 このままだと心臓ももたないし、そろそろ……。



 恐る恐るゆっくりと、殿下の背中から手を離す。
 ピクッと反応した殿下が、それを止めるかのように先ほどよりも強く抱きしめてきた。


「!」

「……さっきの話の続きだけど」


 ずっと黙っていた殿下が、そのタイミングで同時に声を出した。
 私の耳に近い場所で喋っているため、声を小さくしてくれていて少しくすぐったい。