「……私はこんな冗談を言いませんよ」

「…………俺だって言わないけど」

「そう、みたいですね」

「そうみたいって……俺がセアラのこと本気で好きだって、やっとわかってくれたってこと?」

「う……はい」



 ハッキリそう聞かれると、肯定するのも恥ずかしいわ。



 気まずそうに返事をした私を見て、ジョシュア殿下がクスッと笑う。
 久々に殿下の笑った顔を見た気がして、なぜか涙が出そうになった。


「遅すぎ」

「……すみません」


 そう小さく文句を言うなり、ジョシュア殿下は私の手を引いて優しく抱きしめてきた。
 頭を撫でるように支えられて、殿下の頬と私の頬がそっと触れ合う。
 言葉にしなくても、殿下からの愛情が伝わってくるような気がした。