結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜【電子書籍化決定】


「あの男の子は、ジョシュア殿下だったんですよね?」

「……なんで、知って……え?」


 殿下はゴチャゴチャな頭の中を整理するかのように、右手で髪をかき上げて頭を押さえた。
 今までの会話などを振り返っているのか、焦点が合っていない。


「あれが俺だと知っているのか……?」

「はい」

「そのブローチをあげたのが俺だってことも?」

「はい」

「……なら、さっき言った好きな人っていうのは……」


 ジョシュア殿下がその事実に気づくまでの間、私はカタカタと震える手を必死に握りしめていた。
 こんなにも緊張するのは人生で初かもしれない。
 何かひどいことを言われたわけではないのに、なぜか無性に泣きたくなる。


「……ジョシュア殿下のことです。私、ジョシュア殿下が……」


 あまりの緊張で言葉がうまく出てこない。
 喉がカラカラに渇いていて、声すら出せないように思えてくる。
 


 がんばるのよ、セアラ!