私ったら。
 昨日、初恋といえど同じ人を好きになることはないのね……なんて思っておきながら、しっかり同じ人を好きになってるじゃない。



「……バカね。何も知らずに、同じ人に2回恋してしまうなんて」


 今朝は殿下にどう自分の気持ちを伝えればいいのかとグダグダ考えていたけれど、なんだかやけにスッキリした気がする。
 胸元で光るブローチを優しく包んで、キュッと握りしめる。



 これは、殿下が私のために買ってくれたものだったのね。
 だからさっきあんなに驚いた顔をしていたんだわ。



「……よし!!」


 私は自分の机の引き出しを開けて、ジョシュア殿下の妃候補関連の書類を取り出した。
 その中から自分の書類だけを引き出す。


「殿下、妃候補にこの方はどうですか? ……なんてね」


 ちゃんと言えるのか、今さら素直になれるのか、実はあまり自信がない。
 でも、すぐにでも殿下にこの気持ちを伝えたいと思っている自分がいる。


「がんばれ、私!」


 自分自身を応援して、私は小さく折り畳んだ書類を持って執務室を飛び出した。
 ジョシュア殿下に会って、この気持ちを伝えるために。