な、なんでこんなに見られているのかしら?



 なぜか恥ずかしくなり、王女から目をそらして俯いてしまう。
 一瞬時が止まったかのように動かなくなっていた王女が、ゆっくりと尋ねてくる。


「……それは、候補の中に入ってもかまわないってこと?」

「……はい」

「それって、もし選ばれたらジョシュアと結婚してもいい……ってこと?」

「は、はい」


 そんなに改めて聞かれると、カアアッと顔が赤くなってしまう。
 以前とはあきらかに違う私の反応を見て、マーガレット王女が歓喜の悲鳴を上げた。


「やったわ――――!!! あのセアラが!!!」

「!」

「私もお父様も、できることならセアラの気持ちを無視することなく結ばれてほしいと思っていたのよ!! でも、ジョシュアがあんな態度ばっかりしてるから……!」


 よほど嬉しいのか、王女は心の内をすべて曝け出すかのように口に出しながらクルクルと回り出した。
 ドレスがひらりと舞い上がってダンスを踊っているみたいだ。


「やったわ!! 10年以上の片思いがやっと実るのね!!」

「…………え?」



 10年以上の片思い?



 舞い上がっていた王女は、ハッとして動きをピタリと止めた。
 自分の口を手で押さえ、気まずそうに私を見る。


「10年以上の片思いって……どういうことでしょうか?」