結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜【電子書籍化決定】


 笑顔でそう答えると、なぜか殿下はプイッと私から顔をそらした。
 顔を見られたくないのか、頬杖をついて顔を隠しているように見える。



 ???
 何かしら?



「……そうか」

「はい」

「ところで、セアラ。昨日は…………いや。なんでもない」

「…………?」


 様子のおかしい殿下に首を傾げていると、突然殿下がガタッと立ち上がった。
 顔は私からそらしたままだ。


「……寝る」

「は、はい」


 それだけ言うと、殿下は私を見ないまま執務室を出ていった。



 ……なんだったのかしら?
 それに、いつも健康的な殿下が寝不足だなんて……。



 そのとき、実家に帰ろうとしている私に「行くな」と言ってきた昨日の殿下の姿が思い出された。



 まさか、私のことが気になって寝れなかった……とか?



 少しの自惚れと、少しの期待。
 殿下の寝不足の原因が自分だなんて、なんとも図々しい考えだ。


「でも、そうだったら嬉しいなんて思ってる私はひどい女ね」


 ポツリとそう呟くなり、私は本日のスケジュールを確認した。