「ん?」
「!!」
見つかった! どうする!?
「ねぇ……」
その女の子が声を出そうとしたとき、入口からガタッと大きな音が聞こえた。
この子と一緒に来たであろう男が入口あたりで動いている音がする。
もしかして、今の音はオリバーか?
女の子だけならともかく、大人にも見つかるのは勘弁だ。
オリバーの作ってくれた機会を利用して、俺は慌てて女の子に声をかけた。
「おい! 俺がここにいることは誰にも言うな!」
今まで、家族やオリバー以外の前では使ったことのない強い命令口調。
突然そんな不躾なことをされたにも関わらず、女の子はキョトンとした顔のまま素直に頷いた。
……え? 本当に黙っててくれるのか?
女の子は自分の口元で指を1本立てて、シーーッと内緒のポーズをした。
そのまま俺に話しかけることもなく入口に戻り、誰かに「私はここに1人でいたいの。だから外で待ってて」とお願いしていた。
それが俺と……セアラの出会いだった。



