オリバーは俺に気を使ってくれているのか、教会の中には入ってこなかった。
 しかし、割れた窓からオリバーの頭が少しだけ見えているので、近くで待機しているようだ。



 人のいない教会って、こんなに静かなんだな……。



 ボロボロに破けた絵画を見ながらそんなことを考えていると、突然ガチャッと扉が開いた。


「わぁ……! 中も素敵ね!」


 幼い女の子の声。
 俺は咄嗟に椅子の上で体を丸めて隠れた。



 誰だ!? なんでここに人が!?



 足音がだんだんと近づいてくるので、俺は前髪をいじって絶対に目をみられないよう念入りに隠した。
 ドキドキと鼓動が速くなる。



 見つかるな……!



 そんな願いはあっさりと打ち消され、俺のすぐ近くで足音は止まった。
 毛の間からうっすらと見えるが、俺と同じくらいの年の女の子がこちらを凝視している。