「……今夜、実家に帰るのか?」
「はい」
「そうか……」
やけに暗く元気のない反応。
いつものジョシュア殿下らしくない態度に、思わず首を傾げてしまう。
何かしら? こんなに反応の薄い殿下は初めてだわ。
ジョシュア殿下は自分の机に向かうことなく、なぜか扉に寄りかかりながら立っている。
まるで部屋から出られないようにされているみたいだ。
「殿下。もしかして体調が悪いのですか? ここ最近様子が変ですよ」
「体調は悪くない。……気分は最悪だけどな」
「えっ? 気分? たしかに顔色があまり良くないですし……睡眠不足とかですか? 早くお部屋に戻ってゆっくり休んだほうが……」
「寝ても治らない。原因はセアラだから」
「えっ!? 私?」