「はぁ……今日はいつも以上に疲れたわ……」


 本日の業務をすべて終えて自室に戻るなり、私はクッションを抱いて長ソファにゴロンと横になった。



 ……結局あのあとも、『ヤキモチ』の件については何も言われなかったわね。



 今朝仕事のミスが多かったことで何か嫌がらせをされると覚悟していたけれど、面倒な仕事を押しつけられたり苦手な食べ物を食べさせられることもなかった。


「むしろ、ちょっと避けられてた……?」


 あまり目が合うこともなく、話しかけられることも少なかった気がする。



 ……いや。これでいいのよ。
 嫌がらせなんて、されないほうが当たり前なんだから。
 避けられるくらいがちょうどいいんだわ。



 どこか寂しさを感じていた自分に驚き、ガバッと起き上がる。



 殿下にかまってもらえなくて寂しいとか、そんなこと思ってないから!