ピリピリとした居心地の悪い空気の中、ペコッと頭を下げてその場を離れる。
 私の前を歩いているジョシュア殿下がいつもより早歩きで、遅れずについていくのがやっとだ。



 ジョシュア殿下ったら……なんでこんなに歩くのが速いの?
 足の長さが違うんだから、ついていくこっちの身にもなってほしいわ。



 ほぼ走っているといっても過言ではないスピードのため、少し息切れをしてしまっている。
 もうとっくにフレッド王子の姿が見えなくなった場所に来たとき、突然ジョシュア殿下が空き部屋へと入っていった。


「殿下? このお部屋に何か……」


 バタン!

 あとに続いて中に入った途端、扉を閉められてしまった。
 私はジョシュア殿下と扉の間に挟まれて、身動きが取れない。



 ……あ、あら?
 こんな体勢、少し前にもあったような……。