「なんでもありません。お久しぶりですね、ジョシュア殿下」

「数年前の外交パーティー以来ですね。フレッド殿下」


 無表情のフレッド王子と笑顔のジョシュア殿下。
 全然タイプの違う2人の王子は、お互いあまり心のこもっていないような挨拶を交わしている。



 なんでここにジョシュア殿下がいるの?
 私との面会を邪魔していた相手と会って気まずくないのかしら?



セアラ()が高熱だから会えない』とウソをついて面会を断っていたであろうジョシュア殿下は、まったく悪びれた様子もなく堂々と立っている。
 フレッド王子も、まさかこの爽やか王子が自分を騙した相手だとは気がつかないだろう。


「それで、フレッド殿下は本日なぜこちらに?」

「ディエゴと会っていました。何度かセアラに面会を申し込んだのですが、断られていたので。ですが、偶然会えたので話していました」

「そうですか」


 チラッとジョシュア殿下が私を横目で見る。
 その黄金の瞳がギラリと光り、何か訴えているのを私は即座に理解した。



 怒ってる……!
 面会を断った相手と勝手に会っていたから怒ってるんだわ。