「まったく見覚えないですか?」
「ああ。こんなに泥だらけになってる女の子は見たことない」
「! ま、毎日泥だらけだったわけではないですから!」
私がそう言うと、フレッド王子はまた小さくフッと笑った。
……本当に見覚えないの?
あの思い出の男の子は、フレッド殿下じゃないのかしら……?
一目惚れと言われて、古い教会での思い出が脳裏をよぎった。
けれど、そうではなかったとわかって少しだけガッカリしてしまう。
そんな私に向かって、フレッド王子が右手を差し出してきた。
「その写真も返して」
「! これはダメですっ」



