「遅くなり申し訳ございませんでした。……トユン事務官はどちらへ?」

 
 この時間ならいるはずなのに、トユン事務官の姿がない。
 私の嫌な予感を肯定するかのように、ジョシュア殿下がニヤリと口角を上げた。

 
「席を外してもらったよ。セアラをいじめる楽しい時間は、俺だけで楽しみたいからね」
 
「…………」


 
 今、ハッキリと『いじめる時間』だと言ったわね。


 
 さすがに今回は真顔をキープできなかったらしい。
 私の引き攣った顔を見て、ジョシュア殿下が心底嬉しそうに表情を緩めた。
 
 そして、右手をクイクイッと動かし私に手招きをしている。

 
「セアラ。こっちに座って」