「はぁ……」


 朝の会議終了後、私はトボトボと王宮の中庭に向かって歩いていた。

 執務室にも寄らずにそのまま来たので、会議の書類などを持ったままの状態だ。
 それを抱きしめるようにして持ち、私は小さなため息をついた。



 会議に集中できなくて失敗ばかりしちゃったわ……。
 みんなの前だったから殿下に怒られずに済んだけど、執務室に戻ったらきっと怒られちゃうわね。



 朝トユン事務官と話していた内容が頭から離れず、殿下に名前を呼ばれたのに無視してしまったり、インクを床にこぼしてしまったりしたのだ。



 ああ……引き攣った笑顔の殿下、恐ろしかったわ。
 


「……ん?」


 中庭が見えてきたとき、その近くに2人の騎士が立っているのが見えた。

 1人は第1騎士団の団長で、何度か話したことのあるディエゴ団長だ。
 その隣にいる赤い髪の騎士には見覚えがある。



 えっ? あれって……フレッド殿下!?