「お。朝食は済んだのか?」

 
 執務室に入ると、すでにジョシュア殿下が私を待っていた。
 机の上には書類が散らばっていて、ずっとここで仕事をしていた様子が窺える。

 
「はい。殿下はまだ召し上がっていないのですか?」
 
「もう食べたよ。誰かと違って時間を無駄にしないだけさ」

 
 あきらかな嫌味と共に、爽やかにニコッと微笑むジョシュア殿下。
 顔と言葉が一致しないのは、いつものことだ。


 
 ……本当に意地悪なんだから。


 
 ついため息をつきそうになったけれど、なんとか顔には出さないようにこらえた。