ジョシュア殿下は、まるで憎いものでも見るような目で私のドレスに視線を移した。
「これですか? たしかに私も最初は派手で驚きましたけど、ここに来たらみんな似たようなドレスだったので特に気にならな……わっ」
まだ話している最中だというのに、突然顔に何かの布が被さった。
それがジョシュア殿下の着ていたジャケットだと気づいたのは、殿下の服装が薄着になっていたからだ。
「殿下、なぜ脱いで……。風邪をひいてしまうのですぐに着てくださ──」
「いいから、それはセアラが着て」
「え? ですが、ドレスの上にジャケットを羽織るのはマナー違反──」
「そんなのどうでもいいから。着て」
「でも──」
「着ろ」
「…………はい」
こんな華やかな場所で、ドレスにジャケットを羽織るなんて……もう絶対に婚約のお話なんていただけないわ。
あっ、でも私だってバレなければ大丈夫かしら?
私の戸惑った顔を見て、ジョシュア殿下がめずらしくフォローしてくる。