結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜【電子書籍化決定】


 なんなの、この人。
 こんな自分勝手な人がいるなんて!
 あのジョシュア殿下だって、初対面の女性にこんなことはしないわ!


 
「いい加減に──」
 
「失礼」
 
「!」

 
 もう少しでバルコニーに出てしまう……というところで、誰かに呼び止められた。
 私たちの目の前に突然現れたため、さすがの男性も驚いて足を止める。

 
「なんですか?」
 
「その女性、嫌がっていませんか? 無理やりはよくないので、離してあげてください」
 
「嫌がってなどいませんよ」
 
「そうでしょうか? ではご本人に聞いてみましょう。嫌がっていませんか?」
 
「…………」

 
 その突如現れた男性は、世で言うところのヒーローだろう。
 困った女性を助けるために現れた、正義のヒーロー。
 
 実際に私は嫌がっていたし、こうして救いの手を伸ばしてもらえているのはとても嬉しくありがたいことだ。
 でも、私はその質問にすぐに答えることはできなかった。