会場に入ってはみたものの、あまりにもすごい迫力に押されてつい端っこの壁際に立っている私。
これ以上、中央位置に進む気にはなれない。
あんなに明るいライトを浴びながらみんなの前で踊るなんて、私には無理ね。
動きの速いダンスにはあまり自信がないし、何より恥ずかしいわ。
みんなすごい……初対面の相手とも笑顔で話してる!
あっ、あの方は声をかけられてすぐに踊り出した!
そういうものなのね……。
「あなたは行かないの?」
「えっ」
初めて見る夜会の華々しさに一歩引いていると、真っ赤な唇をした若い女性が話しかけてきた。
「こんな所にいたら、誰にも誘ってもらえないわよ?」
「あ、あの、私は……」
「私と一緒に行く?」
「……いいえ。大丈夫……です」
「そう? しっかり楽しんだほうがいいわよ。じゃあね」



