「やあ、おかえり。セアラ」
「た、ただいま戻りました……」
執務室に入るなり、ニコニコと気味が悪いほどに笑っているジョシュア殿下が私を出迎えてくれた。
部屋から出さないつもりなのか、するりと私の横を通り過ぎて扉の前に立ち塞がる殿下。
まさか……殿下ってばあれからずっと私を待ってたの!?
「遅かったね。さっきの話の続きをしたくて待ってたよ」
「フレッド殿下のことでしたら、あれ以上お話しすることはありません」
「へぇ……俺の記憶だと、何か言いかけていたはずだけど?」
「私の記憶にはありません」
ジョシュア殿下は頑なに話そうとしない私を見下ろして、どう喋らせようかと考えているようだ。
それが嫌というほど伝わってくるので、どうしてもその黄金の瞳から目をそらしてしまう。