結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜【電子書籍化決定】


「どれもとても美味しいです」

「ありがとうございます。ところで、その……本日はなぜ急に……?」


 遠慮がちな父の質問に、王子の手がピタリと止まった。
 答えが気になっていた私や母も、父と同様フレッド王子に顔を向ける。

 王子は斜め下に視線を移して間を置いた後、端的に答えた。顔はずっと真顔のままである。


「この前久しぶりに兄夫婦の家に行きまして。そのとき、部屋に飾られていたアイリス様の家族写真を見たのです」

「まあ。アイリスが私たちの写真を?」


 嬉しそうに声を上げた母に、フレッド王子が軽く頷く。


「それで、まだご挨拶もしていないことに気づいて急遽伺ってしまいました」

「わざわざそんな……! ありがとうございます」


 久々に姉の様子が聞けて嬉しいのか、その後は両親からの質問に王子が答えるだけの状態が続いた。
 王子は元々喋るのが得意ではないのか、話を膨らませることなく淡々と質問に答えていく。

 それでも両親は満足そうだった。