夏に溶けていく



朝。


私のおでこには熱冷ましシートが貼ってあった。


良かった、紫央は帰ってきたんだ。


キッチンの方を覗いてみる。


あれ、紫央がいない。


そこで私はローテーブルの上に置いてあった封筒を見つけた。


その下に紙が置いてある。



『真夏へ



短い間だったけど、世話になった。


いや、俺が世話したのかもしれないけども。


急だけど、実家に戻る。


家賃は封筒の中に入ってる。


それと、気安く男家に入れるんじゃない。


今までありがとう。


そして…、ごめん。



天神紫央』



そう書かれた手紙。


封筒にはこれまでの家賃の3倍はあった。


紫央はいない。


私の朝ごはんを作ってくれる人も、私を笑顔にしてくれる人もいない。


あれ、なんでだろう。


涙が出てくる。


紫央とずっと一緒にいたかった。


私、紫央のこと何も知らない。


名前と、優しさしか知らない。


「紫央…っ」


紫央にはもう私はいらないのか。


そう思うと胸がギュッと締まる。


キスした時も、嫌じゃなかった。

なんだこれ、分かっちゃったじゃない。



この気持ちが。


私は紫央にお礼すら言うことができていない。


紫央にもう一度会って、お礼が言いたい。


『ありがとう』と、











『好きだよ』って。